追悼

小沢昭一さんが亡くなった。


初めて小沢さんを知ったのはいつだったろう。よく憶えていない。
徹子の部屋で年に一回くらい扮装して出ていたから知ったのだろうか。


小沢さんを好きになったきっかけは、
学生の頃に川島雄三監督のしとやかな獣という映画を観たからだった。
小沢さんはその映画にしれっと外国人役で出ていて、これがまた面白かったのだ。


家族で田舎に帰省する車の中では、小沢さんのラジオをよく聴いていた。
車内ではTBSラジオと決まっていたので、いつの間にか聴いていた。
小沢昭一の小沢昭一的こころ。お囃子で始まって古臭いんだけど、その時間だけは独特だった。
小沢さんが独りで流行りのテーマを小話調で話す。
その中に出てくるのが、サラリーマンの宮坂さんだった。
宮坂さんは誰だかわからない。たまに薬屋だったりもする。
ちょっと昭和っぽい、どこにでもいるお父さんだ。
その漫談のような小話、小沢さんが話す宮坂さんと奥さんのやり取りがとても好きだった。


10年近く前に地元の友達と飲んでいて、宮坂さんの話になったことがある。
友達も仕事で車に乗っているときに聴いていたらしく、小沢さんの話す宮坂さんの真似をしたりした。
そのときの印象が強く残っていたのと、自分が普通のサラリーマンだったので、
このブログを始めるときに「サラリーマンの宮坂さん」をタイトルに拝借しようと思った。
一緒だと何なので、2にした。このタイトルはパクりなのだ。


小沢さんは亡くなってしまったから、もうあのラジオを聴けることはない。
普通にまだ、大沢悠里のゆうゆうワイドの途中でやっているような気がしてしまう。
でもまあ、誰だかわからない宮坂さんは、どこかで普通に生きている気がする。
いつものように時事ネタに踊らされながら。


小沢さんどうもありがとうございました。
まだしばらく、このタイトルのまま続けたいと思います。
徹子の部屋に小沢さんが出るとき、徹子さんはいつも楽しそうで可愛かったです。


ラジオのこころ (文春新書)

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