雑記

ミスター端っこ


キーンコーンカーンコーン
社員1「ああ、今日はどこに昼いくかあ」
社員2「カツ食いにいこう、カツ」
OL「お昼いこー」
社員たちが財布を持って次々に席を立っていく。
一人残る中年の男。席は窓寄り。そそくさとビニールに入った弁当を机に載せる。
弁当は幕の内弁当。両手でゆっくりふたを開けて、中を覗き込む。
男 (幕の内弁当は弁当の王様!! バラエティーに富んだおかずがところ狭しとぎっしりさ!)
男はまずシャケの照り焼きに箸をつける。
男 (よーし、まずはこのシャケだ。身が締まっていていかにもおいしそうだ)
シャケを口に入れる。
男 (うん、うまい!しかもこのタレがなんともいえない。このぴりっとしたかくし味は・・・しょうがだ!)
男は黙って表情を変えず、次にトンカツに箸をつける。
男 (よーし、幕の内のメインディッシュ、トンカツだ!)
トンカツを口に入れる。サクッ
男 (うまい!)
男 (肉はやわらかいし、肉汁もたっぷりある。口の中に肉の旨味が広がっていく感じだ)
男 (しかもすごいのはこの衣だ!弁当なのにサクッとして歯ごたえがあり、その上油っぽさがまったくない!これは特製のパン粉を使ってるんだ!)
男は黙って表情を変えずにご飯に箸をつける。
男 (そしてこのご飯だ)
ご飯を口に入れる。
男 (このご飯はいい固さにしめてあって、弁当特有のべとつきがなくさっぱりと食べられるよ!)
男は黙って表情を変えずに卵焼きに箸をつける。
卵焼きを口に入れる。
男 (この付け合せの卵焼き、ふんわりと軽い味がたまらない。中にハンペンをはさみこんである!)
男は黙って表情を変えずに香の物に箸をつける。
男 (最後はこれさ。)
香の物を口に入れる。コリッ
男 (このカブの一夜漬けは塩かげんがバッチリだ!香の物にも一切手を抜いてない!)
男は黙って表情を変えずに、ゆっくりと弁当をたいらげる。
男はペットボトルのお茶を手に取って飲む。
男 (お茶はやっぱりおーいお茶。温かくして飲みたいよ!)
男は黙って表情を変えずに、食べ終わった弁当をビニールに丁寧に包む。
男 (はーっ!!うまかったぁ!!これなら週3で食べても飽きずに大満足だよ!!)
部長「おーい、中本っ」
男「は、はい」
男は顔を上げて、部長の方を向く。
部長「お前、ゆっくり弁当食ってないで年始の挨拶回りにさっさと行ってこい」
男「はあ」
部長「若手に見本示せ」
男「今若手はみんな昼でいませんが」
部長「いなくてもいいんだよ。お前がそこにいるとな、おれの気が散るんだ」
男「は、はい」
男はカバンを持ってそそくさと出かけていく。


ちなみにミスター味っ子は中学2年生らしい。
小学生だと思ってた。
※この話は実際のミスター味っ子のセリフに基づいています。