親父の赤い靴下

子「パパー、ベッドのとこに赤い靴下あったー!」
父「お、うちのマンションにもサンタさん回ってきてくれたのかな。よかったなあ」
子「なに入ってるかな。」
ごそごそ
母「何入ってるかなー。三郎の好きなやつかなー?」
子「なにこれー?」
父母「あっ」
子「なにこれー、ママー、キングマカって書いてあるよ。キングマカってなんか敵のやつ?なにー?」
父親、仰天した顔で母親の方を見てから、
父「これはね、サンタさんが間違えたんだ。これは隣のおじさんがもらうプレゼントだよ。三郎のじゃない」
母親、あわててもうひとつの赤い靴下を持ってきて、
母「サブちゃんのはこっちよー。これはおじさんに返してあげましょうね。ほらサブちゃんの欲しかった油ねんど」
父「よかったなー、サブ。これで何でも作れるぞ。今からお父さんとねんどでパトカー作ろうな」
子「うん。ぼくタイヤつくるね」
父親、母親に目で「聞いてないぞ、それを隠せ、隠せ」と伝える。
母親、キングマカを手に持ちながら、しばし黙って父親を見つめている。
くるりと背を向けて、冷蔵庫の上に隠す。そしてもう一度父親と目線を合わす。しっとり見つめている。
父親、油ねんどを捏ねながら、つばを飲む。
母親、ちょっと上目使い。
笑いながらタイヤを作っている三郎。