雑記

「何か食いに行くか」
実家に帰ったときに、親父に幾度となく言われた号令だ。
「焼肉」
僕は毎回「焼肉」としか言わない。
ということで、家族で外食するときはほとんど近所の安楽亭に行く。
休みの日の安楽亭は混む。
18時台は特に混むので、親父は17時半を狙う。
「ダメなら線路近くの高めの焼肉屋だな」
と言うものの、親父は本心ではない。はなから安楽亭しか頭にはない。
安楽亭に着いて、親父はメニューを見ながら、
安楽亭はファミリーカルビが基本だ」
と言う。今年56歳。肉が来る前にタレを混ぜる。僕も高校以来そうしている。
火が着けられ、肉が来る。
和牛カルビを食べてからファミリーカルビを食べて、
「和牛カルビにすればよかったな」
と親父は言う。しばらくすると、
「ハラミは一番うまいな」
と、親父の中からファミリーカルビはなくなる。
そのうち、
「リブカルビもうまい」
とか言い出す。
もっと美味い焼肉屋はいくらでもある気がするけど、
安楽亭にいるとき、うちの家族は一番話をしている気がする。
他の肉を食べてると忘れられちゃうけど、
ファミリーカルビは名前だけじゃないのかもしれない。