雑記

幼少の頃からスポーツと距離を置いてきた気がする。もう一歩前に出たらよかったのかなあとたまに思ったり思わなかったりする。


先輩「お前ら、入学して半年トレーニングばかりでうんざりだったろうが、この合宿ではドリルに触らせるつもりだから心しておけよ」
新入生「はいっ」
先輩「よし、じゃあこれからお前らにヘッドホンを配るぞ。新島、お前代表だ。前へ出ろ」
新入生「はいっ」
先輩はヘッドホンを新島に渡す。
先輩「新島、ここが伸び縮みするから調節しろ」
新入生「は、はい。」
新入生はヘッドホンのサイズを調整して頭に被る。
先輩「おい、みんな見ろ」
先輩「ここに隙間ができてるだろう。これだとドリルの音にやられるんだ。新島、5ミリずつ詰めろ」
新入生「左右ですか?」
先輩「ずつって言っただろう。考えろ」
新入生「はい、左右詰めます」
カリカ
先輩「いいか、きついくらいじゃないとだめなんだ。新島、これがお前のサイズだ。体で覚えろ。次は曲選びだ。新島、お前は何を聴くつもりだ」
新入生「J-POPとかよく聴くんですが」
先輩「J-POPの何だ?」
新入生「ええと、その、Soweluとか」
先輩「はっきりしろ。でも許さん。お前ら、J-POPだとドリルの音にやられるからだめだ。Judas Priestにしろ」
新入生「はい」
先輩「じゃあ、今から流すから耳を慣らせ」
先輩はスイッチを入れる。
新入生「…うう…ああ…先輩、頭が砕けそうです」
先輩「音量は決まっている。これがうちの音量だ」
新入生「…ギギ、はい・・・」
他の新入生は目を覆っている。
先輩はメガホンを持って話す。
先輩「よし新島、これがドリルだ」
先輩はドリルを新入生に渡す。
新入生「…う、う、重い」
先輩「半年鍛えても最初はこうなんだ。新島、ドリルは厳しいんだ」
新入生「・・・は、はい」
先輩「このヒモを思い切り引いて、エンジンをかけろ。いいな、思い切り引け」
新入生は顔を歪ませながら、ヒモを引いてエンジンをかける。
グオーン、プスプス。
先輩「思い切り引けと言っただろうが」
新入生「は、はい」
グオー、プス。グオー、プププ。
先輩「もっと引くんだ、頭より上に腕を振り上げろ」
新入生「はいっ」
グオーーン、ブルンブルブルル。ブワーン。
先輩「よし、新島、右手のグリップがアクセルだ。吹かせ」
グオーーーーン、グワーーーーンワー。
新入生「う、うわあ」
先輩「怖がるな。ドリルになめられるぞ」
新入生「はいい」


つづく